ミステリーをはじめ、時代劇やファンタジーなど幅広いジャンルで人気を誇り、多くの作品が映像化されているベストセラー作家・宮部みゆきさん。
今回は、2001年に刊行された文庫書き下ろし作品『R.P.G』を読みました。
ネット社会が抱える孤独や家族の在り方を鋭く描いたこの作品のあらすじと感想をお届けします。
宮部みゆき『R.P.G』あらすじ
建設中の一軒家で、男性の遺体が発見されます。命を奪われたのは、所田良介という男。
調査の結果、彼にはネット上で「疑似家族」と呼ばれる存在があり、実際の家族はその関係を全く知らなかったことが判明します。
捜査を担当する刑事・武上は、この疑似家族のメンバーを取り調べることに。さらに、所田の娘・一美をマジックミラー越しに面通しさせ、事件の真相に迫ろうとします。
宮部みゆき『R.P.G』感想

私は本を読むのが遅いほうですが、『R.P.G』は1~2日であっという間に読み終えました。
緊迫感ある取り調べ室の場面が物語の大半を占めているので、まるで舞台演劇を見ているような感覚に陥ります。冒頭で刑事・武上が「急きょ呼ばれた代役」と自嘲気味に語るシーンから、舞台作品のような演出が巧みに仕込まれていると感じました。
本作は2001年に刊行された宮部みゆきさん初の文庫書き下ろし作品で、2003年にはNHKでテレビドラマ化もされています。
また、宮部作品を読んだことがある方なら、「模倣犯」の武上悦郎刑事や「クロスファイア」の石津ちか子が登場するクロスオーバーの展開も楽しめるはずです。
ただ、ネットにまつわる描写は2001年当時のものなので、今読むと少し古さを感じる部分もあります。しかし、それが逆に「ネット上での家族関係」のリアルさを強調しているようにも思えました。
「現実では孤独でも、ネット上には居場所がある」というテーマは、今の時代だからこそより強く響くものがあります。
「家族とは何か」という問いかけが作品全体を通して描かれている点も見どころです。
ネット社会が発展した今だからこそ、もう一度読んでみる価値がある作品です。
まとめ
『R.P.G』はミステリーとしての面白さに加え、家族の絆やネット社会の孤独をテーマにした作品です。
人と人との繋がり方が変わった現代だからこそ、深く心に響く物語だと感じました。
宮部みゆきさんの巧みな心理描写や緊迫感ある展開に引き込まれ、最後までページをめくる手が止まりませんでした。ぜひ一度読んでみてください。
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